相続=資産家だけの問題?サラリーマンでも相続税対策が必要な理由

節税対策

相続は、みなさんの身近な問題になっていることをご存知ですか?
うちの親は一般的なサラリーマンだから相続税なんて無縁だと思っていたのに、実際は相続税を納めることになってしまった。といった事例はよくあります。
相続が始まって、「相続対策をしておけば良かった」と後悔をせず、このコラムを読んで、相続対策を始めるきっかけになっていただけば幸です。

相続=資産家だけの問題?

その1.貯蓄額はどのくらいあるの?

まず、世帯平均貯蓄はどのくらいあるのか、ご存じですか。

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」によると、「1世帯当たり平均貯蓄額」は、1,077万4千円となっています。

年齢別にみると50~59歳の「1世帯当たり平均貯蓄額」は、1,075万4千円であり、全世帯平均とほぼ同額になっているのです。
「なんだ、1,000万円なら相続税はかからないじゃないか。」と思う人が多いと思います。

しかし、ちょっと考えてください。親がサラリーマンの場合、現在、定年を迎えていますか?定年を迎えた時の退職金が盲点となっていませんか?退職金が加算されたら貯蓄額が大幅に増えてしまい相続税が発生してしまった。なんてことも・・・。

では、次に退職金がもらえる場合について考えてみましょう。

その2.退職金っていくらもらえるの?

総務省統計局の「平成30年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒で定年退職した人の退職金の平均額は、1,983万円です。

この平均退職金と、上記の貯蓄額、50~59歳の「1世帯当たり平均貯蓄額」1,075万4千円を足すと3,058万4千円になります。

その3.不動産があったら?

さらに、不動産があったらどうですか?
不動産の平均相続税評価額の統計資料はありませんが、仮に、不動産の相続税評価額を2000万円としましょう。

この場合、財産総額は、退職金含む貯蓄額3,058万4千円+2,000万円=5,058万4千円になります。

その4.意外に身近な相続税の申告義務

夫婦+子供2人で5,058万円4千の財産を所有している夫に相続が発生した場合でみてみましょう。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人3人)=4,800万円

この場合、相続税がかかるか否かは別として、相続税の申告義務は発生します。

誰が何を相続するかによって相続税額が課税されたり、相続税がかからなかったり、相続対策をすれば、遺産額が基礎控除額以下となり、相続税の申告義務がなくなったりします。

つまり、相続の問題は、資産家の問題ではなく、みなさんの身近に起こる問題になっているのです。

これは、相続税の基礎控除額がどんどん引き下げられてきたからなのです。

なぜなら、1,462兆円の借金を抱え、毎年借金が増加している日本の財政状況の中、財源をどこで確保するかを考えると、財産を引き継いだ相続人から相続税として徴求しようと考えますよね。

ですから、今後も、相続税の基礎控除額が引き下げられる可能性は高いと認識しておくべきでしょう。

配偶者控除の落とし穴

配偶者控除

相続税には、配偶者控除があるから、このケースであれば、すべて配偶者が相続すれば、相続税はかからないのでは?との質問をよく受けます。

配偶者控除とは、配偶者は、相続財産の1/2又は1億6,000万円のいずれか多い額までなら相続税は、課税されません。

このケースの場合5,058万4千円<1億6000万円 なので、すべて配偶者が相続すれば、相続税はかかりません。

しかし、ここに落とし穴があるのです。

配偶者控除で奥様がすべての相続を受け取った場合相続税がかからなくとも、二次相続を受け取る際に子どもたちが相続税を支払うケースがあるのです。二次相続を想定してみましょう。
※父から財産を相続した母が亡くなり、その子供が母の財産を相続することを二次相続といいます。

一次相続と二次相続、節税効果はどちらが高い?

(例1)仮に、母親(配偶者)から2人の子供が全額財産を相続したと仮定
遺産総額5,058万円4千円
基礎控除額 3,000万円+600万円×2=4,200万円

法定相続分で相続した場合の相続税額 一人429,200円×2=858,400円となります。

(例2)父親がなくなった時に、母親と2人の子供が1/2ずつ相続した場合
基礎控除額 3,000万円+600万円×3=4,800万円
配偶者の相続財産 5,058万4千円×1/2=2,529万2千円
子供1一人の相続財産5,058万4千円×1/2×1/2=1,264万6千円

相続税総額 母親(配偶者)は配偶者控除により0円、子供は129,200×2=258,400円

(例1)のケースでは、一次相続は0円、二次相続時は858,400円の相続税を支払います。
(例2)のケースでは、一次相続で258,400円、二次相続時は0円となります。

結果、例2の一次相続で相続税を収めた場合の方が節税されたことになりますね。

これはひとつの例ですが、相続というのは、人それぞれ資産内容も相続人も違います。相続対策というのは、それぞれのご家庭の状況に合わせて事前に準備をしておくことが節税対策の最も効果的な方法なのです。

どれがベストな選択なのかは、ケースバイケースであり、相続発生時期によって結果も変わります。

ただ、唯一いえるのは、相続対策には、様々なものがありますので、早めに行っておいて、損はないということです。

次回は、その様々な相続対策について解説していきましょう。

監修 中尾一英税理士プロフィール
地方銀行に34年間勤務、銀行では16年間事業再生、事業継承業務に従事し、事業計画書の作成・実行支援に取り組んでおりました。藤沢・茅ヶ崎エリアを中心に活動しております。元銀行員の強みを活かした細やかで、親身な対応を心がけております。
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