税理士コラム|おもな4つの相続対策

不動産について

前回のコラムでは3つのStepと不動産の場合の対策をご紹介しました。

①財産目録の作成と財産額の算出
②相続人の把握
③基礎控除額・相続税総額の算出

今回は相続対策があるかたくさんある相続対策の中から、一般的な4つ対策についてご説明致します。

  1. 節税対策:相続税を少なくする
  2. 納税資金対策:相続税を納める現金を用意できるのか
  3. 争相続対策:遺産分割時に、相続人間のもめ事がないようにする
  4. 認知症対策:認知症になった場合に、資産の修繕や現金が引き出せなくなる等、財産管理に支障がないようにする

1.節税対策

相続税を少なくするには、財産を減らすことです。死ぬまでにすべて使い切るとおっしゃる方もいらっしゃるとおもいますが、日本人は、老後の生活を考えるなかなかそこまでできる人はいないと思います。そこで節税対策の代表的なものである生前贈与を考えてみてはいかがでしょうか?生前贈与には、いろいろなものがあります。ここでは6つの贈与についてご説明いたします。

暦年贈与

これは、1年間に一人110万円までは、非課税として贈与税は、かからないというものです。但し、この規定は、見直しがされる可能性が高そうです。

贈与も相続と一体とする考えから、現在、相続税法において、相続開始前3年以内に受けた贈与財産は、相続税の対象にされますが、この3年がなくなるあるいは10年、15年に延びる可能性がありますので、早めに対応することをお勧めします。

また、毎年誕生日に贈与している場合や毎年同額を贈与している場合は、定期贈与とみなされ、定期贈与の合計額に贈与税が課税される場合がありますので注意してください。

住宅資金に係る贈与の非課税

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下「非課税の特例」といいます)。

<非課税限度額>
贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。

教育資金贈与

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」といいます。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合、または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等の有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となります。

結婚子育て資金贈与

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳(注1)以上50歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」といいます。)から信託受益権を付与された場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券社等の有価証券を購入した場合には、信託受益権または金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

非課税資産の購入

現金でもっていると相続税が課税されますが、非課税財産ならば、相続税は課税されません。非課税財産の代表的なものといえば、生命保険の非課税枠を活用することです。生命保険の非課税限度額は、500万円×法定相続人です。法定相続人が3人ならば、1,500万円の生命保険に入ることで相続財産を1,500万円減少させることができます。

生命保険は、相続が発生したことを証明する書類を送付するだけで、受取人に保険金が速やかに支払われますので、葬儀費用に使用することも可能です。

要は、現預金で1,500万円持っていれば、その分相続税が課税されますが、保険金1,500万円にしておけば、1,500万円には、相続税がかからないと言うことなのです。

墓地の購入等

生前に墓地を購入し、墓石を建てれば、その費用には、相続税はかかりません。相続発生後ですと、相続税を支払った後にお墓の費用も支払うことになります。

2.納税資金対策

納税資金対策としては、一つは、生命保険に加入し、保険金で相続税を支払うことです。

会社の経営者であれば、会社で生命保険に加入し、相続が発生したときには、会社に入金された保険金等を退職金として個人に支払うこともできます。

また、先ほどの事例のように、資産の組み替えを行うのも良いでしょう。例えば不動産を売却して、その売却代金で、生命保険に加入してみてはいかがですか。

3.争相続対策

令和2年に遺産分割において、裁判事件となっている約8割が、相続財産価額が5,000万円以下なのです。争相続は、身近に起こっている問題なのです。その対策として最も有効なのが、遺言書を作成しておくことです。

本人の意向を示すことで争いも極力抑えることができるのです。但し、遺留分を侵害しないような遺言書の作成をお勧めしますので、ご興味がある方は、ご相談ください。

4.認知症対策

現在、社会問題となっているのが、認知症対策です。認知症になったら、ご本人の意思確認ができないので、銀行預金を引き出すことができなくなりました。銀行からは、後見人の手続をしてくださいと言われました。後見人の手続に1年近くかかり、その間の支払いをするため、親族が借入金をして賄いました。という話はよくあることなのです。

本人が認知症になる前に、家族信託を活用することをお勧めします。後見人は、裁判所が選任するため、親族がなれる都は限りません。一方家族信託は、親族に財産の全部又は一部を信託することにより、本人の意思能力にかかわらず、支払いが可能です。

また、不動産を信託すれば、その不動産の管理としての支出も可能であり、また、必要に応じて売却することもできます。認知症になったために、不動産を売却できないため、施設に入居させることができない なんてことがないように、今から認知症対策はしておくべきだと思います。

まとめ

いかがでしたか?少し難しいお話になってしまいましたが、相続税の法改正は年々厳しくなっています。少しでも節税効果が高くなるよう、早めの対策がおすすめです。

中尾一英税理士事務所では、少しでも税金が安くなるご提案をいたします。
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監修 中尾一英税理士プロフィール
地方銀行に34年間勤務、銀行では16年間事業再生、事業継承業務に従事し、事業計画書の作成・実行支援に取り組んでおりました。藤沢・茅ヶ崎エリアを中心に活動しております。元銀行員の強みを活かした細やかで、親身な対応を心がけております。
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