刑務所が快適だと再犯率が激減?空間の質を高め幸せを掴む

ライフステージ

(フジワラユカ/コンテンポラリー風水コンサルタント)

『北風と太陽』という有名なイソップの寓話(ぐうわ)がありますよね。北風と太陽が旅人の上着を脱がせることができるか、力比べをします。北風は冷たく強い風を吹かせ上着を吹き飛ばそうとしますが、旅人はむしろ上着の襟をしっかり掴んで脱がされまいとします。次に太陽は燦々と大地を照らします。上着が必要なくなった旅人はコートを脱ぎます。一見勝ち目がありそうな北風ですが、いとも簡単に太陽に負けてしまうという寓話ですが、今日お話をする刑務所の事例も「北風」と「太陽」の構図。刑務所という空間はどうあるべきか?厳しいアプローチとやさしいアプローチではどちらがよいのでしょうか。

刑務所は罪を犯した人が収容される場所ですから、不自由であるのは当然で、環境は悪辣なほうが再販抑止になるという考え方があると思います。ところが実際はそうでもないのです。刑務所の環境が「北風」か「太陽」かによって、受刑者のその後の人生の流れを大きく左右していることが読み取れます。

欧州の刑務所平均再犯率は70%、世界一快適なノルウェーの再犯率は18% !

世界一快適な刑務所は残念ながら日本にはありません。先進的な刑務所があるのはノルウェー。受刑者の社会復帰に重点を置き、受刑者が社会の一員であることを自覚できるようにするという人道的な理念をもって設計された刑務所がいくつか存在しています。その中の一つがオスロにあるバイデン刑務所。ここには、通常あるようなものものしい鉄線や柵がなく、監視カメラもほとんどありません。それだけでなく、受刑者は農業や釣りをすることもできるのだそうです。

建物の設計も、受刑者が社会復帰しやすいよう、家にいるかのような雰囲気を重視しています。壁はグレーのコンクリート一色ではなく、レンガやモロカンタイルがあしらわれていたり、壁には外国の街並みの写真やアートが飾られていたり。建物と建物の間も自由に行き来できるようになっているのだそうです。そうしたバイデン刑務所の受刑者の出所後の再犯率はなんと18%。格段に低いのは、北風戦略ではなく太陽戦略が奏功していると言えますよね。空間の質が人間性や人生の質に与えている作用がいかに大きいかがわかります。

刑務所の事例から学ぶ、自宅の空間の「質」を高める風水の要素

北風と太陽を空間にたとえながら、どのように自分の家、部屋を整えていけば幸せにアクセスしやすくなるのか、従来の刑務所を想像しながら逆説的に説明してみたいと思います。

【自宅の空間の「質」を高める大事な要素】

  1. 整理整頓
  2. 空間の彩り
  3. 自由な動線
  4. 自然に触れられる
  5. 自分らしさ
  6. 美しく豊かなシンボル

1.整理整頓

不要になったもの、汚れたものが散乱している空間、ものが乱雑に置かれている空間を心地よく感じる人はいないと思います。ゴミやものが散乱し、不衛生な場所に身をおくと、自暴自棄な気持ちとつながりやすくなるでしょう。それは暴力的な気分や絶望的な落ち込みを呼び込みやすくなります。自分の住空間を整理整頓することは、こうした気分から脱出する鍵になります。空間のお掃除をし、雑に放置されたものを整理整頓すること。空間の乱雑さは自分自身を乱雑に扱ってゆくことになりますので、丁寧にきちんと並べてみてください。整理整頓は、いつでも心の平穏と自己尊重感を高めてくれます。

2.空間の彩り

コンクリートに鉄柵、薄暗い空間の中は想像を超える無機質さや冷たさであふれているのではないかと想像できます。彩りのない世界は自然の美しい循環がある環境とは真逆です。流れがおきにくい空間では思考停止もおこりそうです。顔も無表情になっていきそうですよね。空間に「彩り」は、私たちに希望を与えてくれています。彩りは意識の上では多様な人、多様な世界、多様な経験としてみることができます。未来の未知の出会いを逃さないためにも、彩りをご自身の空間から排除しないこと。可能性を開いていくために、彩りを配すことはとても重要です。

3.自由な動線

行きたい場所に行くことができる自由があるすばらしさは、その不自由を味わったときに痛感するものだと思います。自宅から出られない不自由や監視される不自由はほとんどないと思いますが、出入りしにくい出入り口、通りづらい通路、使いづらい部屋などあれば不自由に感じるのではないかと思います。風水において、家の各機能にスムーズにアクセスできることはとても重要です。それが叶わない場合、なんらかの課題が生じていることもあるからです。

住む人それぞれに居場所があることも大切です。自由な居場所がないという点では北風空間に近づいてしまいます。安心してくつろげる場所を確保することは誰にとっても必要です。

4.自然に触れられる

従来型の刑務所は自然のエレメントが極端に少ないですよね。窓も小さく自然のエネルギーに触れられないことはとても制約がある環境だと思われます。窓があること、窓から空や木々が眺められること、外気に触れられること、鳥のさえずりが聞こえること…など、すべてがなんとありがたいことでしょう。毎朝の換気、草花への水やり、煮炊きを通じて火に触れることなどもとても重要な営みです。室内のインテリアも直線的なものを選びすぎないこと。自然界には直線は一つもありません。自然のエネルギーに触れることは、人間として本来もちあわせたパワーを引き出す鍵になります。同時に心身の健康や人間関係にも寄与いていきます。

5.自分らしさ

従来の刑務所では好きな服、好きな部屋にすることは難しそうですよね。自分らしさを禁じられた没個性の世界では、ワクワクしたフィーリング、才能の芽が封じられてしまいます。自由な自己表現も抑制されていくと思われます。自宅の空間が誰かの支配下にあるとき、少なからず同じような残念な状況が生まれていますので注意が必要です。自分らしさは他人軸ではなく自分軸。「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で判断してみて。整っているけれど殺風景な部屋だと感じたら、自分らしさが不足しているかもしれません。空間に自分の好みや個性を表していくようにしてみてください。

6.美しく豊かなシンボル

最後はシンボルです。恐怖や不安をあおるもの、惨めさや痛みを呼び起こすシンボルをわざわざ自宅においたりしていないかチェックしてみてください。親や親しい友人からいただいたものであっても、関係性によってはネガティブな気持ちとつながっていることもあります。あらためて空間に配置されたアートやオブジェ、本棚の本のタイトルなども含めて見渡しながら、自分の気持ちを高めているもの、癒してくれるもの、サポートしてくれているものがどのようなものかを考えてみてください。こちらも他人軸ではなく自分軸で判断します。一つひとつのシンボルとフィーリングを共鳴させていくことができると、流れは動き出します。

いかがでしたでしょうか。空間には可能性がまだまだたくさんあると思います。北風戦略ではなく太陽戦略でご自宅の空間の質を高めていきましょう。

(風水コンサルタント フジワラユカ)

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