実家が空き家に?空き家対策の準備とオススメ方法とは?

不動産について

監修:中尾一英税理士事務所

令和2年12月に国土交通省住宅局が公表された「令和元年空き家所有者実態調査報告書」によると、空き家の取得方法は、相続による取得が54.6%と最も多くなっています。親が一人暮らしをしている実家が、空き家になる可能性が非常に高いのです。子供たちは、自分の職場や子供の教員環境等の住環境を確立しており、実家に住み替えることは困難であると思われます。また、空き家の今後5年程度の利用意向については、「空き家にしておく(物置を含む)」が 28.0%、「セカンドハウスなどとして利用」が 18.1%、「売却」が 17.3%の順となっています。

実家なので家の中の整理に時間をかかり、売却はしたくないと考える方も多いと思いますが、売却時期によって税金がどれだけ違うかを説明します。

売却時期は大きく3つの期間に分かれます

  • 空き家になる前に売却
  • 相続発生後(相続日から起算して3年後の年末まで)に売却した場合
  • 相続日から起算して3年を経過した翌年以降に売却した場合

1.空き家になる前に売却した場合

空き家になる前に売却するということは、売主は、所有者の親になります。
この場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できます。

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、マイホーム(居住用財産)を売ったときには、一定の要件がありますが、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができます。つまり、譲渡益が3,000万円までは、譲渡所得税がかからないということです。適用要件については以下に記載いたします。

一定の要件

(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること(以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること)。
(2)売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
(3)売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
(4)売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
(5)災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(6)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

上記の要件をわかり易くするため、具体例で説明いたします。
ケース1)
売買価額 4,000万円
取得費   850万円
譲渡費用  150万円
5年超所有している
4,000万円-(850万円+150万円)-3,000万円=0
となり、譲渡所得税はかかりません。

ただし、自宅を売却するので、今後どこに住むかが問題になります。

「リースバック」制度のご紹介

「リースバック」とは、自宅を売却した後も、自宅を賃借してそのまま住み続けることができる制度です。このリースバックを利用すれば、自宅を現金化して、今後の老後生活を豊かに過ごすための資金にすることができます。そのまま住み慣れた自宅で生活を継続できます(家賃を支払うことになります)。自宅に住まず、売却資金で、老人ホーム等の入居費用にする等、選択肢は広がります。子供たちは、自分たちの住宅環境を築いているため、自宅を引き継ぐ相続人がいない場合等には、不動産を現金化することにより、相続時のトラブル防止に有効です。売却資金を利用し、贈与や保険等を活用し、相続税の節税対図ることができます。
このリースバックは、リバティーエステートでも取り扱っていますので、一度ご相談ください。

2.相続発生後(相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで)に売却した場合

相続が発生した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに相続により取得した空き家を売却した場合で、一定の要件を満たしている場合には、3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。

相続が発生していますので、相続税を納めている場合には、
・その者の相続税×この空き家の不動産の相続税評価額/(その者の相続した財産の課税価格+その者の債務控除の額)により算出された相続税額を取得費に加算する特例
・3,000万円の特別控除の特例
のいずれかの有利適用となります。

空き家を相続人が支払った相続税額が3,000万円以下ならば、この3,000万円の特別控除の特例が有利となりますので、今回は、この3,000万円の特例を適用することとします。この3,000万円の特別控除の適用を受けることにより、上記ケース1と同様に譲渡所得税はかかりません。

<土地、建物の取得費がわかる契約書等が見つからない場合>
土地、建物の取得費がわかる契約書等が不明の場合には、譲渡所得税の計算が違ってきます。
土地・建物の取得費がわからないと、売却額の5%が取得費とみなして譲渡所得を計算します。

4,000万円-(4,000×5%+150万円)-3,000万円=650万円
650万円×20.315%=1,320,475円 譲渡所得税がかかります。

このようなリスクがありますので、ご注意してください。
※親が元気なうちに土地・建物の契約書等の所在を確認しておきましょう。

一定の要件

(1)特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。
イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
(2)特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいいます。
<この特例を受けるための要件>
(1)売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
(2)次のイまたはロの売却をしたこと。
イ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
ロ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
(3)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(4)売却代金が1億円以下であること。

3.相続日から起算して3年を経過する日の属する翌年以降に売却した場合

相続日から起算して3年を経過する日の翌年以降に実家を売却すると、3,000万円の特別控除の適用が受けられなくなります。

4,000万円-(850万円+150万円)=3,000万円
3,000万円×20.315%=6,094,500円 譲渡所得税が課税さます。

<売買契約書等が見つからず取得費が不明の場合>
4,000万円-(4000万円×5%+150万円)=3,650万円
3,650万円×20.315%=7,414,975円 譲渡所得税を納付しなければなりません。

このように、実家を売却する時期によって譲渡所得税が、大きく変わってくることを認識し、実家の空き家対策を今のうちから考えておくことをお勧めいたします。なお、生前のうちにリースバックを利用し、老後の生活を楽しむ資金を捻出してみるのも良いのではないでしょうか。

まとめ

1.空き家になる前に売却
「3,000万円の特別控除の特例」が適用される、売却後はリースバックという選択もある
2.相続発生後(相続日から起算して3年後の年末まで)に売却した場合
「相続税額を取得費に加算する特例」または「3,000万円の特別控除の特例」のいずれかが適用される
3.相続日から起算して3年を経過した翌年以降に売却した場合
「3,000万円の特別控除」が受けられない

いかがでしたか?今回は難しい内容でしたたね。相続税は毎年改正がありとても複雑です。
なにから始めればいいか、相続税額はいくらなのかなど、お一人で悩まず中尾一英税理士事務所にご相談ください。
60分間無料にてご相談承ります。

監修 中尾一英税理士プロフィール
地方銀行に34年間勤務、銀行では16年間事業再生、事業継承業務に従事し、事業計画書の作成・実行支援に取り組んでおりました。藤沢・茅ヶ崎エリアを中心に活動しております。元銀行員の強みを活かした細やかで、親身な対応を心がけております。
相続対策・経理相談などお気軽にご相談ください。

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